
この記事は、貯金の目的は安心を得るためなのですか?と問いかけるものです。
今まで安心を探し求めた経験の無い私(自分ではそう思っている)としては『安心って何だろう…』という具合ではありますが、毎日不安のようなものと戦ってはいます。
しかしながら、私が追い求めているのは『安心』ではないのですね。
『不安』を解決してくれるのが『貯金』という答えにも『?』というのが正直な意見です。
❏なぜ貯金をするのか?

私も貯金について考えたり悩んだりした時期があります。
『貯金しておかないと、結婚したり子どもを授かったりする際困りそうだ』と。
このようにして将来のイベントに対して準備を着々と進めるのは賛成です。
私たちが楽しみに望んでいることを実現するのですから。
目的があって貯金をする。
素敵なことだと思います。
また、何かあったときのためという資金を準備しておくのも良いと思います。
- 何か仕事でチャンスが訪れた時、引っ越しすることになった!とか
- 突然の不幸でお金が必要になった…とか
人生は何が起こるかわかりませんので。
急展開にびくともしない懐作りをある程度しておく必要があると思います。
一見、将来の不安を払拭する行為にも見えますが、イベントに対する準備という判断は目的が明確です。
『使い道がないから、お金が余っている』
コレもいいと思います。
したいことがない時期だってあるでしょう。
また、みんながみんなしたいことを持っているわけでもありません。
人のしたいことのために尽力するのが好きな人だってたくさんいるわけです。
一方で『不安だから貯金する…』
貯金できたら安心するんですか?
『不安だったから貯金している最中』という人たちは、貯金がゼロだった時よりも不安が小さくなっていますでしょうか?
というより、安心してどうするんですか…
❏お金があったら安心するのですか?

貯金で不安を埋めようとする行為は、なにか満たされないものを埋めようとしているように見えます。
言い方は悪いですが、〇〇依存症みたいな感じですね。
本当は何か別のもので埋められない溝を違うもので間に合わせようとしている行為と本質的には同じなのでは?という気がします。
偶然貯金だっただけではないでしょうか。
これは別に貯金だけではなく、やたらと買い物をして、部屋をモノでいっぱいにしようとする心理とも近いのではないかと思います。
結局は不安を他のことで間に合わせようとしているに過ぎません。
貯金があるのに不安だという人が少なくないのは、そういうことでしょう。
自分のすべきこと・やりたいことをお金が無くてもできているのであれば良いでしょうけれど、そんな生活を続けるのはなかなか大変です。
安心のために貯金をするのであれば、自分のなかで『いくら貯めてそれでも安心しなかったら』違う方法を考える、といったプランを立てるのも良いかと思います。
気付いた時には年をとっていて、『もっと早くああしておけばよかった』『もっとお金を使っておけばよかった』と思ってしまう日が来ないようにできるといいですね。
まあ、そんな風に気付いてしまったら、その時から行動を変えればいいだけの話ですが
❏貯金はいくらしておくと安心?

さて、さんざん『安心のために貯金する意味って何?』とつついてきましたが、実際にはいくらくらい貯金するといいのでしょうか?
先ほど、人生のイベントについてふれたのでそれを例にしてみます。
【結婚】
結婚にかかる費用総額は400~500万円(指輪、式、新婚旅行諸々)に収まる傾向があり、ゼクシィの調査結果によれば、特に『挙式・披露宴・披露パーティ』の平均金額は354.9万円とのこと。
結婚したい人は500万貯金しておきましょう。
【子ども】
また、子ども一人を学校に行かせるのにかかる平均費用は、公立か私立かで500万円~2000万円と大きく変化します。
幼稚園から高校すべて公立でも500万はかかるとされています。
家庭が欲しい人は子どもひとりにつき相応の貯金を。
こういったイベントを自分のなかで具体的に描くことができそうであれば、いくら貯金するのかという目標も、毎月いくら貯金すれば何年かかかるのか?ということも明確になりますね。
夫婦共働きで毎月10万貯金すれば、5年で600万という計算ができます。

【老後】
総務省のデータによると、無職高齢者(2人以上)の貯蓄高はおよそ2000万円程度であることが読み取れます。
毎月5.5万円を30年貯金すれば2000万円貯まります。
先ほど同様、夫婦共働きで毎月10万貯金すれば、20年で2400万円の計算です。
今から40~50年後、年金制度が存在しているのでしょうか?
そもそも、『老後はゆっくり暮らす』というモデルがまだあるのかどうかすら怪しいと思います。
そうなれば、100歳まで活発にやりたいことに取り組み続けるにはどうすべきかを考えて行動する方がいいかもしれません。
30前後から老後のために貯金をするのが吉と出るかはわかりませんが、2019年に流行ったiDeCoに余裕資金を投じてみてもいいでしょう。
(私は『国はお金を返してくれるのか?』と疑問に感じているので、60過ぎまで引き出せないというリスクを負う気にはなれませんでした。)
❏準備はしても、し足りない

近頃は人生100年時代・生きるリスクと言われるように、今までの高齢者が生きてきたライフプランとは全く違うモデルになってくると思われます。
かつては会社が生きる意味を与えてくれてました。
松下幸之助さんの『与えられた仕事を天命と思いなさい』という言葉も過去のものになりつつあります。
終身雇用が約束されていたからこそ成り立っていた考え方でしょう。
自分で生きる意味を見定めないと、長生きするにしても生き方に困ってしまうと思います。
若いときにある程度お金を使っておかないと、いずれお金を手にすることができても使い方に困ることでしょう。
そうなれば、そもそも貯金があるかどうかというレベルの話ではありません。
貯金があっても、『何のために生きているのだろう?』と自分の存在意義を満たせない日々をずっと続けなくてならないのではないでしょうか。
例えば、75歳で仕事をリタイアして、貯金がたくさんあっても、ただ毎日家でコタツに入ってテレビを見てという生活を20年以上しないといけないと思うと…
メディアは私たちが不安になるような情報をたくさん教えてくれます。
どんなに毎日切り詰めて生活しても、不安は嫌というほど畳みかけてくるのです。
私は、貯金で安心を獲得するのではなく、自分の強み作りに取り組み、自信をもって生きていくようにすることが重要なのではないかと考えています。
安心のために今貯金に集中している人は、ある程度貯金ができたら、そのまま続けつつも、一方で自分を大きくするためにお金を使っていくというのも良いのではないでしょうか。
暫く節制を継続したのなら、最低限のコストで成り立つ生活習慣が身についているはずです。
コスパ人材こそ最強だと思います。
お金の不安に苛まれず、仕事や趣味に打ち込めれるようになれたら幸せですね。