この記事は、中国で買い物するときどう決済するのがいいんだろう?何を準備しておけば、お会計でトラブルにならないだろう?という方に向けたものです。
近頃、たくさんの支払い方法が日本でも出てきていますが、おとなり中国では圧倒的にQRコード決済が定着しており、一説では98%にものぼるともいわれているようです。
そんな中国へ行くにあたって、決済手段の実情は一体どうなんだ?
という人も多いのではないでしょうか。
ということで、
『中国で持っておくべき決済手段は結局何なの?』という疑問に答えていきます。
中国での決済手段はコレだ
大変残念ではありますが、中国では日本のクレジットカードが使いにくいのが実情です。詳細は後述しますが、先に行く前に何を準備すべきなのかを確認します。
長期滞在者《VISA・MASTER/現金/銀聯カード/QRコード決済》
長期滞在をする人であれば、中国系の銀行口座を開設することでQRコード決済が可能になりますので、コレをおすすめします。あとは時と場合に応じてクレジットカードや現金を使い分けるといいでしょう。スマホの充電がなくなるとまずいので現金は持ち歩くようにしておきたいところです。
旅行者《VISA・MASTER/現金/銀聯カード》
旅行者の場合、AlipayやWechatpayを使うことはできないでしょうから、クレジットカードと現金を準備しましょう。VISA・MASTERがいいです。クレジットカードはもともとそんなに使いやすくないですが、JCB、AMEX、ダイナースといったブランドはレジやATMで対応していないことが多いですので気を付けた方がいいです。
中国へ渡る前に、銀聯カードを発行しておくのが最も便利な方法になることは間違いないですが、『中国に1回旅行するためだけにわざわざ作るのも面倒かな…』という人も少なくないでしょう。
交通機関でカードは使えないので、現金を持っておくといいでしょう。タクシーに乗りたければ、ホテルのフロントやコンシェルジュにお願いして呼んでもらうのがベストです。
クレジットカードはVISA・MASTERが無難
そもそもクレジットカードが使える環境は限られていますが、旅行で数日間中国を訪れる場合は、《VISA・MASTER》の2種類さえあれば不自由なく過ごせます。
正直『クレジットカードでも全然問題ない説』は北京や上海をはじめとする大都市にしかあてはまりません。『旅行が好きで少しマニアな旅をしたい』とか『小さいメシ屋でディープな食事にチャレンジしたい』とか考えている人は現金を持っていくべきです。郊外になるほど、当然支払い手段も少しずつ不自由になっていくといえます。
レジにカード決済用の機械がおいてあるので決済できそうな気もするのですが、とにかく不可能なので諦めましょう。北京や上海のような大都市でもそのような状況なので、他の都市はなおさら不可であることを理解しておくべきです。クレジットカードが使えるところと使えないところは以下のような具合です。
使える
- ホテル
- 一部の食品スーパー(コンビニではない)
- 偽物市場
使えない
- 交通機関(バス、電車、タクシー)
- コアな屋台やメシ屋
食品スーパーでも使えることがあるので、クレジットカードが使えるかどうかVISAをみせてレジの人に聞いてみる価値はあります。
そして中国に観光するならぜひ行きたい偽物市場でも、『クレジットカードが使える』というアピールをしてあることが多いです。
日本と同じように、『VISA』などのマークがレジに置いてあることもあります。
旅行客が銀聯カードをわざわざ持ってくるわけもないので、偽物市場ではVISAを準備するほかないのかもしれないですね。
使えない場所として交通機関とメシ屋を挙げています。
その価格は20元~50元と都市によりますが、交通機関はプリペイドカードを購入して都度チャージするというのが一般的です。これは現地の中国人でも同じことです。
一方、コアなメシ屋についてですが、そもそもどんな旅行好きであれこういうところに一人で行くことは少ないでしょうからそんなに気にしなくていいかと思います。ガイドブックや現地のフリーペーパー、友人に紹介してもらうことで行くことを考えると、お店の情報は事前にわかるはずだからです。
逆に、ホテルでは決済やデポジットをクレジットカードで行ないます。
上海のホテルで実習生としての勤務経験がある私ですが、中国のホテルはチェックイン時にデポジット(担保)を一定額確保します。
クレジットカードで一定の金額を凍結し、もし宿泊中にホテル内で食事をすることがあればそこから代金が引かれるという仕組みです。
このお金はだいたい宿泊料に近い金額ですので結構高いです。現金で払ってしまうとせっかく持ってきた現金が早速なくなることもあります。旅行で使えなければ意味がなくなるのでカードを使いましょう。チェックアウト時にデポジットは返ってきます。
だから、『中国でカードは使えない』といっても私たちにとっては必携品です。ちゃんと持っていきましょう。
現金を持ち歩くメリット・デメリットとは
基本的にはあまりお勧めしませんが、現金は使えます。
『現金は使わせてもらいにくいって聞いたんだけど…』という方はいらっしゃいますか?
現金は嫌がられることもありますが、使えないことはないです。
ただし、間違っても高額な買い物を現金ですることがないようにしてください。
わりと『現金で』とか『カードで』とか言えば対応してくれるので問題はありません。
確かに、支払いの際には『wechatをご利用ですか?』と聞かれるくらいにQRコード決済は当たり前の時代になっています。
現金の出番はズバリ、スマホ・スマホの充電がなくなったときです。
最悪の事態が起こったときのことを考えて、現金は常に持っておくといいですね。
オススメしない理由としては、
- 現金がきれいではないので、キャッシュレスの方がいい。
- おつりが余るので、キャッシュレスの方がいい。
- 日本と違って、高額な買い物のとき現金がかなり分厚くなる。
- タクシーは現金をほぼ準備していない
あと、現金を出すと『本物』の紙幣かどうか確認するための機械に通されます。
たしかに、身近で『いつのまにか偽札をもっていた』というケースはなかなかないです。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、そんなリスクを抑えるためにも、『現金メイン』はお勧めしません。中国の紙幣を自分で見てみると分かるのですが、日本のみたいに複雑な印刷技術は使用していないからです。
―両替について
両替は中国国内の銀行でするのが一番いいでしょう。間違っても、日本の空港で円を元に換えるようなことは避けて下さい。20%程度レートが変わります。
銀聯カード(Union Pay)は日本人でも使える
中国でカード決済といえば銀聯カード。これは日本でも発行することが可能です。中国の銀聯カードはデビットカードがほとんどといわれていますが、日本の場合はクレジットカードとして作ることが可能です。
この銀聯カードはネット上でカンタンに申し込むことが可能です。もともとクレジットカードでの決済に慣れている人や、中国生活は長いけどQRコード決済に対して何らかの抵抗があるという人はこの方法がおススメです。
また、日本語で対応してくれるサポートデスクもある点が安心です。
便利なQRコード決済を使ってみよう
長期的に中国で生活をする予定なのであれば、最もメインになる決済手段はQRコード決済になるでしょう。AlipayかWechatpayをダウンロードすることになるでしょう。
ネット銀行のVISAデビットでお金を引き出そう
中国に行くのを機に、ネット銀行の口座開設をしてみてはどうでしょうか。
私がジャパンネット銀行を選んだのは、当時何も知らなかったときに駐在経験のある方に薦められたからです。海外ATMでもお金が引き出せるということで口座開設を行いました。
銀行のATMにいってお金を自分で移動するという作業が面倒ではありますが、これはなかなか便利なのでオススメです。銀聯カードを持っていなくても簡単に決済をするにはQRコードを使うしかありません。
ジャパンネット銀行の口座でなくても、VISAやMasterをもっていればキャッシングで現地通貨を引き出すことはもちろん可能です。
確かにその方法も同様に便利ではありますが、あくまで『借入』ですので利子がついたり、あとで返済しないといけなかったりと余計な金銭管理がついてくることになります。
自分の預金残高から必要な分だけを引き出せるという点こそ、この方法を推す理由です。
残念ながら、中国への旅行者ではQRコード決済を使用するのは難しい。なぜなら、中国系の銀行口座をアプリと連携させる必要があるからです。
ウォルマートのような大手スーパーではQRコード決済専用のレジスペースがあります。自分で商品のバーコードをスキャンするセルフレジは日本でもありますが、キャッシュレスがより徹底されています。
中国でカードが使いにくい理由とは
さて、そもそもどうして中国ではクレジットカードに関してこんなにも不便なの?
という疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
中国発のカードブランド―銀聯(ギンレン、Yin-Lian、英名:Union pay)。日本での決済手段として当たり前になっているのと同じように、世界的にも有名なカードブランドといえます。そして、中国人がカードを使用するとすれば、それはほぼ間違いなくこの銀聯であり、例えばVISAである可能性はかなり低いです。
中国の主流はデビットカードである
実は、この銀聯カードも実はほとんどがデビットカードの機能しかないといわれています。
中国銀行協会によって公布されているブルーブック(藍書)によると、2018年の時点で
- デビットカードの発行枚数 … 68.6億 枚 ⇒ 4.79 枚/人
- クレジットカードの発行枚数 … 9.7億 枚 ⇒ 0.7 枚/人
ということがわかっており、依然として双方には大きな差があるといえます。
平均してしまえば一人当たり一枚も持っていないというのは中国全体を俯瞰した時の現状のようです。経済成長しているとはいえ、クレジットカードを多くの国民が所有するのはまだ難しそうですね。
VISAなど他ブランドと異なり、銀聯ブランドは加盟店側にとって手数料が負担にならないようになっています。
だからこそ、どんなお店であれお客様がカード決済をするときには銀聯を使用してほしいし、そもそも店頭に銀聯しか置いていないというような結果に至っているようです。
先にQRコードが定着してしまった
ここ数年で中国がおおきな経済成長を遂げてきたなかで、クレジットカードが定着したのはほんの一握りの富裕層だけといわれています。
国民の多くがクレジットカードを持てるほど豊かになる前に、QRコード決済が登場し、みんながその便利さに気付いてしまったのです。
中国人口の7割は郊外にいるという衝撃の事実
にわかに信じがたいところですが、一級都市と呼ばれる北京、上海、広州、深圳*などをはじめとする都市には人口がたったの30%しかいないといわれています。
地方は社会インフラがまだまだ未熟で、上記の都市だけ独走している状態ですね。
北京や上海といった都市に足を運ぶと中国は裕福な国にも見えますが、実はそうでもないということです。
中国人民政府が設定している経済圏はいくつかありますが、なんせ国が大きいがゆえにトップの意向を各地に反映するのが遅くなってしまうのが実情のようです。
*北京、上海、広州、深圳 … 中国のニュースなどには頭文字をとって『北上広』『北上広深』という表現があります。例えば他の都市に、この4都市より優れる点があれば『○○市が北上広深を押さえて1位に!』といわれるくらい、この4都市は抜きんでているということです。
QRコード決済、その2つの違いはなに?
中国ではもう当たり前の決済手段になってしまったQRコード決済。
日本で買い物する際にも、当たり前のようにレジで見受けられる風景になっていますが、コレが非常に便利。
大きなショッピングモールから、路上で果物を売ってまわるおばちゃんまで、使い始めるとコレなしでは生活できなくなるといっても過言ではないほどです。
- wechat(微信支付)…テンセント(腾讯,Tencent)
- Alipay(支付宝)………アリババ(阿里巴巴,Alibaba)
配車アプリや出前アプリを使用する際にも、決済手段となってくるのが上記の2つです。日本のようにクレジットカードを使うことはネット上でもなかなかできません。
―Alipay(支付宝)
決済から自分の金銭管理
―Wechat pay(微信支付)
決済から友人との金銭やり取り
ーAlipay(支付宝)
中国の巨大なオンラインショッピングモール淘宝网(通称:タオバオ、Taobao)/天猫(通称:ティーモール、T-Mall)を展開するアリババグループのサービスです。このプラットフォームで買い物をするとなれば、当然Alipayを使うことになります。
2004年12月に始まって以来、2010年にはすでにユーザーが5.5億人にもなっていたといいます。
公共料金の支払いという基本的なものから、フライトのチケット予約、タクシーの決済、ゴマ信用(個人の信用スコアによって買い物等への優待が変わる)という最先端サービスまで幅広く展開し、お金にまつわることを総合的にサポートするサービスです。
『余額宝』という基金積み立てサービス、『Ant check』というローンサービスもあり、それまでなかった決済手段が中国人の消費や投資意欲を高め、より便利なものとして受け入れられています。
残念ながら、決済以外のサービスとなると中国国民でなければできないことも多いですが、日本人であっても十分便利なツールとして活用できます。
Alipayが魅力的であるのは、その手数料にもあります。従来のクレジットカード会社はおよそ3~4%をお店側に請求していましたが、Alipayであればたったの0.55%という圧倒的な低コストであることです。消費者にも取引手数料が基本的にかかりません。これが、国外ブランドクレジットカードが定着しない理由であり、QRコード決済が一気に広まった理由でもあります。
ーWechat pay(微信支付)
ゲームやSNSプラットフォームを展開するテンセント社が2014年に始めた決済サービス。2011年に始まったWechatは2013年時点ですでに6億ものユーザーを抱え、1日のアクティブユーザーがすでに1億であったといいます。アリババのオンライン決済サービスからは遅れを取っていたものの、その巨大なユーザー数がWechat pay(微信支付)を中国三大決済のひとつに導きました。2017年にはユーザー数8億、400もの銀行との取引するまでになりました。Alipayほどは国外進出していないものの、9つの通貨に対応するまでに大きくなっています。
Alipayとは異なり、中国では決済だけではなく友達同士の割り勘やお小遣いといったコミュニケーションの手段として活用されています。
LINEでもコミュニケーションツールとして友達や家族のゲーム進捗やプレゼントの通知が届いたりしますが、それと同じように遠くにいる人を近くに感じることができる場となっています。
おわりに
―QRコード決済の注意事項
wechat payの操作方法がわからなくて、タクシーの運転手に決済の操作をお願いしたところ、5000元も抜き取られていたという経験をした人が身近にいます。こんなケースは少なくないようですが、本当に恐ろしいですね。
最初はたしかに難しいですが、相手側が自由に操作できる状態を作ってしまわぬようにしないと怖い目にあいます。
初期設定や使用方法は身近な信頼できる人に尋ねられることをおすすめします。
日本人であれば、中国に駐在する日本人同士で集まることも多いでしょう。そんな集まりの際には、やはり現金を使うケースも少なくありませんので、念のため財布を持ち歩いておくと安心です。
―クレジットカード決済の注意事項
これは中国に限ったことではないですが、現地でカード決済を希望すると『円建てにしますか?それとも○○にしますか?』みたいなことを聞かれることがあります。
絶対に現地通貨のままで決済をして下さい。
間違って円建てにでもしてしまうと『円にしてあげたよ手数料』がとられてしまいますので本当にご注意です。