2019年6月24日、中国日報の記事をもとに編集。

今年の家賃は割と落ち着いている
卒業シーズンの到来に伴い、北京の住宅賃貸市場は例年通り盛り上がりを見せているが、今年はいつにもまして比較的小さく安定した傾向にある。
2018年夏、賃貸市場は「長期賃貸マンションのオークションによる賃料の急激な増加」という場面をつくりだした。
そして今年の動きが穏やかなのは、住宅建設部門が「闇仲介者」を厳しくチェックしはじめたのと、賃貸住宅の規制について政治的な介入があるのが大きく影響している。
「交通の利便性、家賃、快適さの3つのバランスで部屋を選びたい」と、最近引っ越したばかりのある卒業生、金さんは《証券日報》に語った。
金さんの部屋の家賃は3090元で、200元のサービス料と「押一付一*¹」という支払い方法によって生まれた利子が218元、合計月額は3508元。無理なく払うことができる家賃だ。 隣のルームメイトによると、家賃は昨年より300元高くなっただけで、価格はあまり変動していないとのことだった。

金さんは不動産代理店のアプリで部屋を探していたことがわかっていたので、その後レポーターは、その不動産仲介会社をインタビューすることした。
卒業シーズンが来たことに対して代理店の責任者が言っていたのは、
「ここ1ヶ月以上で、角門西付近の賃貸住宅はすでにその70%以上が、居住者が決まっていて、残りの部屋にも住みたいという人が集まっている。ほとんどが最近の卒業生。」
賃料上昇については、地下鉄角門西駅が地下鉄4号線と10号線とつながっている駅であり、市内中心部からより便利な豊台区、家賃は180元~230元/㎡の範囲で、最近の賃貸需要の増加に伴い、家賃も全体的にちょうどいいくらい。
何かしらの条件のいい賃貸が10%前後上昇しているくらいで、全体的に安定している。
国泰・君安証券調査レポートによると、
2019年5月には、北京主要エリアの家賃は下落し、郊外が少し上昇傾向であった。5月の賃貸市場の取引額は前月比0.13%増加、賃貸全体の平均賃料は前月比0.66%減の94.5元/㎡となった。
前年からの賃料上昇率をみてみると、昌平・海淀・豊台の最も伸びている3地区がそれぞれ11.11%、8.72%、7.19%の増加。一方、順義、東城、石景山など5地区の賃料は前月比マイナスとなり、地域的に家賃変動が大きかったというところはなく、概ね安定していたといえる。
この点に関して、厳跌進(ヤン・ユエジン、易居研究所シンクタンクセンター・リサーチディレクター)氏は、
卒業シーズンの到来に伴って賃貸需要が増加し、便利な立地条件で適切な家賃の物件が増えているとはいえ、今年の北京の賃貸住宅市場は概ね安定していると述べた。

政府介入で住宅増築が計画的に
昨年8月以来、北京の管理機関が賃貸住宅市場の乱れを是正すべく、「闇仲介者」を通報する『12345』というコールセンター窓口を設置した。
今のところいい結果を出している。また、北京賃貸市場は供給も増えているため、家賃の安定にも適している。
北京賃貸市場の供給を増やすために、今年3月、『北京市住宅建設委員会』『国家発展改革委員会』などが共同で「《2019年度》住宅を政策的に増築していく計画」を通知した。
147項目にも及ぶプロジェクトには、合計約172,000件の物件が含まれていることが明らかになっている。
張大偉(チャン・タ―ウェイ、中原不動産のチーフ・アナリスト)氏は、「政策の対象になる物件172,000件のうち、プロジェクト45項目・約46,000件が年内に計画を実行される予定だ。」と語った。
政策の対象になる物件は、主に公営賃貸住宅、集合土地賃貸住宅、企業所有の賃貸住宅が中心である。以前の住宅建設部門の公表によると、公営賃貸住宅:8,000戸、集合土地賃貸住宅:35,000戸、企業所有の賃貸住宅:3,000戸という内訳になるようだ。
*¹押一付一:毎月の支払いにデポジットが含まれている。賃貸契約のひとつ。
出典:中国日報の記事をもとに編集。